10月12日の日記によれば、選手サイドがザックに提案した内容は、
引いた相手に対して「しつこいくらいパスを回してポゼッションを高める」ことだった。
細かいパスを回して崩すために、本田と遠藤が求めたのは、両サイドバックが同時に上がることだった。
本田「俺は、もっと攻撃に人数をかけた方がいいと思ってる」
結局ここでも決着がつかず、選手ミーティングで全員の意見を問う事になった。
長谷部の報告によれば、選手皆の総意としてザック案を選択し、
本田も両サイドバックを同時に上げないという方針に同意したという。
ただし、本田の”新しいことをやりたい”という思いは止められなかった。
ベラルーシ戦後のミックスゾーンで本田が「選手同士で話して、W杯用にさらに大きいものを披露しようと組み立てている段階」と語ったように、ベラルーシ相手に本田案をテストした──
──それでも流れは変わらず、日本は0対1で敗れた。
もはやザックジャパンは、ひとつではなかった。
ミックスゾーンで本田の行動に対して暗に苦言を呈したのは内田だった。
「内容より僕は勝ちたい。結果がほしい」
若手の山口蛍は「ブロックをつくっている相手に真ん中から崩すのは難しい」
残念ながらプレースタイルの改革は間に合わず、コートジボワール戦ではまさに本田が下がってパスを受けたときにボールを奪われ、同点弾を決められてしまった。